数日前、たいそう久しぶりに、たんこぶを作った。
電球を替えようとして台に乗っかって、後にひっくり返って、背中から頭にかけて床に打ちつけたのだ。
とにかく痛くて痛くて、痛いと気持が滅入ってくるし、滅入ってくると泣けてくるし、こんな時は寝ちゃうのが1番だ、と思って、眠る事にしたのだけど。
「打ち所が悪くて朝になったら死んでた」とか、あり得なくはないよなぁ、なんて、思いながら寝たからだろうか?変な夢を見た。
どうやら友人らしい人と3人で山道を車で走っていた。
グルングルンと登っていく。
私は助手席に乗っている。
酔いやすいから、どうしても乗らなきゃいけない時は、お願いして助手席にしてもらうのだ。
ものすごいスピードでカーブして、「うわー危ないー!」と思った。
そうしたら、車のタイヤの音が変わった。
ガタガタガタ、と。
砂利道に入ったのだろうか?と思って、外を見たら、それは砂利ではなくて、とてつもなくたくさんの白い珊瑚だった。白い珊瑚の丘だった。
車を降りてみた。
なんとなく気付いていたけど、さっきまで一緒だった人たちはいなくなっていて、スーツを着た係っぽい運転手と私だけになっていた。
白い珊瑚の丘には、一本だけ木が立っていて、その木の枝に、色とりどりのセロファンで出来た、くす玉がひとつだけ、ぶら下がっていた。
そのくす玉が、なんだかすごくセンスが良くて、いいな、と思った。
それから、公民館にあるような、質素な長テーブルがぽつんとひとつ置いてあって、その上に、子供会で配られるような、やはり色とりどりのお菓子の詰め合わせがひとつだけあった。
とにかく寂しい景色だった。曇り空と、延々と続くまっ白な珊瑚と。
くす玉とお菓子だけがカラフルなのが、また妙に寂しかった。
でも、きれいだった。
運転手が、「みんな揃ったら、くす玉を割ろう」と言った。
嘘だと思った。
だって、お菓子はひとつしかないのに。
そこで、「あぁ、こういうのは、なんか知っている」と思った。
さっきのカーブできっと事故があって、多分私は瀕死の状態なんだろう。他の人たちは、なんとか助かったんだろう。
くす玉が割れたら、私は完全に死ぬんだな、と確信した。
その時、ガタガタガタ、と、もう1台車がやって来た。
「えー?」と思った。
助かるの?それともみんな死んじゃうの?
そこで、目が覚めた。
心臓がバクバクしていた。
今、ギリギリの淵にいた、と思った。
くす玉が割れていたら、お菓子を貰っていたら、死んでいたかも、と思った。
そんなわけないけど、寝ぼけていたから、その時は、結構本気でそう思った。