まだ見ぬウマ子よ

「帯状疱疹」という、変な病気になってしまった。

薬を5粒も飲んでいる。5粒も。

今年の夏は、ありがたいことに仕事が詰まっていたので、

元々夏休みらしい夏休みは取らないつもりだったのだけど、

17日に、友人と隅田川の遊覧船に乗ったりビールを飲んだりする

約束をしていて、それが唯一夏休みっぽい行事だったのに、

延期になってしまった。申し訳ない事をした。

そんなこんなで、ここ一週間は痛いやらダルイやらで、

差し迫った締切の絵を描く以外、ゴロゴロして過ごしたので、

色々と考え事をした。

その結果、私の生活には、どう考えても「自転車」が不足していて、

そのせいで、諸々の不都合が生じている可能性が高い、ということが

浮き彫りになってきたのだ。

これはもう、「自転車」を買うしかないのだけど、

特に私にはこだわりもないし、

自転車で23区を横断するようなスポーティーな人ではないので、

（あの前屈みな感じの）高価そうなものでなくていいし、

できたら可愛らしいものがいいけど、可愛らしいものは、

なぜか大抵車輪が小さくて、こぐのが大変そうで、

逆に実はスポーティー？みたいな感じになってしまうし、

普通の地味な、いわゆるママチャリ、みたいのでいいや、

本当、安いので・・・

と、思って自転車屋さんに行った訳なのだけど。

いざ自転車を目の前にすると、やっぱり可愛いのに目がいってしまって、

ママチャリに目がいかないのですよ、困った事に。

急いては事を仕損じる、とはよく言ったもので、いったん帰宅した私は、

「小さい車輪を頑張ってこぐ」よりも「ママチャリを可愛いと思い込む」

方が得策であるという結論に達した。

「住めば都」なんていうけれど、ようは、愛着の問題である。

どうやったら愛着をもてるのか？

そう、名前をつければいいのである。

なんだ、簡単な事じゃないか。

馬。

という言葉が、突然、ふっと、浮かんできた。

馬。

なんて単純で分かりやすいのだろう。

馬に乗って駅まで。

馬に乗って買い物に。

私は、頭の中で、「馬、ウマ」と呼んでみた。

いささか、リズム感に乏しいと感じた。

口に出して心地よいのは、やはり３文字の言葉である。

「ウマオ」

なんか、寂しい女って感じでダメでしょう。

「ウマ子」

これだ。

単純かつ、リズミカルである。

決して美人ではないけれど、なんて心の優しいいい子なのだろう、

ウマ子は。

まだ見ぬ「ウマ子」を見つける。必ず。この週末に。