ほぼ毎日食べている梅干し。
そのまま食べることもあるし、料理に使う事もあるし、お酢の替わりに使う事もあるし、とにかく私の食卓には、梅干しが全くない、という状態は、まずない。そのくらい、よく使う。
いつも、実家の母が、何かのついでに送ってくれる。
実家には、父の友人であるAさんとMさんという、2人のオジサンが作った2種類の梅干しが、常時大量にあって、私はMさんの梅干しが好きだった。(Aさんゴメンナサイ!Aさんのも悪くないのですが!)柔らかくて、酸っぱすぎず、しょっぱすぎず、ねっとりしていて。
Mさんが、脳梗塞で倒れたと聞いたのは、半年くらい前だったろうか?
タヌキみたいにお腹が出ていて、おしゃべりずきで、気前がよくて、体型を裏切らない太っ腹な、愉快なオジサン。
日曜日の夜に、よく家にお酒を飲みに来た。
Mさんの家は農家だったから、色んなものを収穫させてくれた。
しじみなんかもとった。
お年玉をたくさんくれた。
旅行に行くと、家にこれだけくれるのなら、全体でどれだけ買ってるの?ってくらいに、たくさんお土産をくれた。
今は寝たきりの状態だそうだが、口だけは全く異常なく、相変わらずおしゃべりらしい。
見舞いに行った母は、それだけが救いだったという。
私も、それを聞いた時にそう思った。
神様は、言葉だけは奪わないでくれたんだ、と思った。
おしゃべりなMさんは、「トイレに1人で行くのが目標!」と、陽気に言ったそうだ。
先日、「Mさんの梅干し、これが最後だよ」と言って、母が梅干しを送ってくれた。
「Mさんの」と書いた紙を貼って。
もう、半分くらい使ってしまった。
使うたびに、これで最後か、と思うと、勿体なくて、食べる前、無意識に手を合わせて「いただきます」と心から言ってしまう。
鼻の奥がキュンと痛くなる。
だって、全く同じ味には、もう2度と会えないのだ。
これはMさんのお家で採れた梅で、Mさんのやり方で干して漬けた味なのだから。
でも、勿体ぶるのはやめようと思う。
太っ腹なMさんの梅干しなのだから、気前良くホイホイ使って食べて、「いつの間にかなくなっちゃった〜」みたいのが、理想だと思っている。
そして、どんなに可能性が低くても、Mさんが再び梅干しを作れる日を、「絶対ありえないこと」って思わずにいよう、と思う。奇跡かもしれないけれど、絶対無理って思わないでいようと思っている。
今日も、Mさんの梅干しを食べます。
でも、ちょっとだけ、なくなってしまう前に、写真に残しておこう。
私の知り合いにも脳梗塞で倒れた方がいます。
ReplyDeleteやっぱり農家で、自家製梅干しを作っていました。
話に聞く様子から、もう梅干しはいただけない。
そう諦めていました。
Mさんの前向きな姿勢に慰められますね!
私も、うれしくなりました。
脳梗塞に音楽がよいと読んだことがあります。
Mさんの回復をお祈りしています。
脳梗塞に音楽がよいのですか!?
ReplyDeleteそれは知りませんでした!!
梅干しは、いつもいただきものがあったので、あまり気にしていなかったのですが、売られているものを見ると、高価でおどろきます。値段ではないですが、とてもお世話になっていたことに、改めて気付きました。その人がいなくなると、誰かが困るっていうのは、その人の作った繋がりの証だなぁ、と思ったりします。私もたくさんの人を困らせられるような人になりたいです^^