荒井良二さんの「はっぴぃさん」を読みました。
荒井良二さんは、改めて書く必要もないかと思いますが、今日本で1番人気のある絵本作家さんの1人で、またイラストレーターさんです。
ずっと気になりつつも、読んだら影響を受けすぎてしまう気がして、なんだかこわくて、ずっと距離を置いて来ました。なので、表紙の雰囲気がライトなものとか、文が別の人のものとか、そういう数少ない作品しか手に取らないようにしていました。
「はっぴぃさん」は、私的には、ずっと気になりつつも、遠ざけていた1冊だったのです。
でも今日は、なんとなく、手に取ってしまいました。
深く読まないように、パラパラと見るつもりだったのですが、どうやら男の子と女の子が主人公のお話。
実は今、男の子と女の子が主人公のお話の案を練っている最中なのですが、あまり「恋」っぽくなりすぎないように、でもやっぱり女の子同士のお話とは違う、ほんのちょっと「恋」の要素は必要で、そのさじ加減がすごく難しくて、どうしたものかと思いあぐねていたところで、これは参考になるかも、と思って読み始めたのですが・・・
立ち読みしながら泣きそうになってしまいました。
立ち読みしながら泣いてる人ってかなりやばい。
あぶないあぶない、と、慌てて買ってお店を出ました。
参考にしようとか、そんな商売っ気みたいなものは、吹っ飛んでしまいました。
そんなのどうでもよくなりました。
最後から2番目の、引きのカットで、涙がポロポロ止まりませんでした。
それは文章とはある意味切り離されたもので、でもそれ故の存在感があり、あぁ、なんてすごいイラストなんだろう・・・という尊敬からの感動もあり、でも涙が出たのは、やはり作品に泣かされたからなのでした。
人は、どんなに理不尽な状況や、自分の責任ではなく負わされてしまった過酷な環境の中でも、ささやかな幸せや、小さな夢を見ながら生きて行く事ができる強さを持っているのだな、と思えました。それはむしろ、読者である自分の「そうありますように」という希望かもしれません。でも、そうなのだ、と思えました。
でも、やっぱりそういう暗闇みたいなものは、どうしたって生活の周りにあって、出来る事なら無くなってほしいのは当たり前で、ささやかな幸せや夢とは別の次元で、やはり「なくなってほしい」という祈りもあるのでしょう。それはきっと、あまりに自分の力では太刀打ちできないくらい巨大な暗闇で、もはや「願い」ではなく、「祈り」の領域です。
私が言うと何だか安っぽくて恥ずかしいのですが、世界が平和で、今生きている人々が、しなくてもいいはずの「祈り」をしなくても済んで、自分の意識を、日々のささやかな幸せに集中することができるような世界になりますように、と、本当に思いました。
こうやって、感想を書きながらも、涙がポロポロ止まりません。
なんだかバカみたいな光景ですが、今の感動を記録しておきたくて、書いています。
今過酷な状況の下で、どうしても祈らずにはいられない人たちが、その祈りの時間を少しでも自分自身の幸せを願う時間に充てられるように、(キレイごとかもしれないけど)今平和にいられる自分が、その人たちの分まで祈ろう、と思いました。
本当に、読んでよかったです。