Friday, August 19, 2011

こんな天気だから


誰かの話を聞いたとき、それが親しい人であればあるほど、鳥肌が立つくらいに、まるで自分が経験してしまったかのような感覚になってしまう体質(というか癖というか)のようなものは、数少ない自分の長所だと思っていたのだけど、もしかしたら、私はひどい勘違いをしていたのかもしれない。

それは、よく言えば「共感」する力、とか、「共鳴」する力、なのだろうけれど、悪く言えば、自分から巻き込まれて行く不安定さ、ということになるのだろう。

その話が、明るい話だったなら、それはそれで円満だ。
でも、辛い方の話だったら。

私は鳥肌を立てて、一緒になって辛くなって、ぐったりして、底なし沼にはまったみたいに、しばらく沈んで這い上がれなくなってしまうのだ。
それは、寄り添っているようでいて、本当は引きずられているだけだ。

誰かが一緒になって悲しんでくれたら、一時は救われた気持ちになるかもしれないけれど、本当の救いというのは、自分はしっかりと岸に立って、決してそこから動かないで、時間がかかったとしても、泥の中からひっぱり上げてあげることではないだろうか?
それには、きっとものすごい強さが必要なのだろうと思う。

今、「共感する」という方法で、一時的にその人を救うことは出来るし、そうした方がどんなにか楽だと思う。
一緒になって沈むことは、それはそれで結構きついのだけど、動かずにいる意志力に比べたら、だいぶ楽だ。でもそれこそが、一緒になって辛くなっているようでいて、所詮は擬似体験をしているにすぎないという、何よりもの証拠なのだと思う。

ギリギリまで近づいて、それでも岸に立ち続けるには、とてつもないエネルギーが必要だ。一歩間違えたら、それは狡さになってしまう。ただ見ているだけの、卑しい人になってしまう。
でも、正しいやり方で、ちゃんとそれが出来るようになったら、また違う景色が見えてくるのだろう。

今日のお天気がこんなんでよかった。
晴れていたら、こんないいお天気の日に、何してるんだろう?と思ってしまったと思うから。
晴の日も、曇りの日も、風の日も、雨の日も、雪の日も、それぞれに必要で、大切だと思った。

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