Thursday, November 11, 2010

お稲荷さんのこと

月雨式な私の引っ越しも、いよいよ終盤。
人間と生活用品一式の移動は終わって、あとは、7年間に溜まりに溜まった絵の数々!

というわけで、今はまだ、N区とS区を行ったり来たり。
ちなみに前に書いた「チビ」には、あれからまだ会えていない。あと何度かの往復の間に、会えますように。

願い事といえば、近所のお稲荷の事も、書かずにはいられない。

そのお稲荷さんは、なんだかとんでもなく年期が入っていて、尖っているはずのキツネの顔が、長い年月の雨風で、丸くなっているほど。
最初の頃は、ちょっと恐くて近づけなくて、少し遠くの大きな神社に行っていたのだけど、ある時すごく疲れていて、近くで済ませたくて(失礼!)ふとお参りに行った。

そうしたら、実にあっけらかんと、願いを叶えて下さった。

それから私は、定期的にお稲荷さんに行くようになった。
私は「しみったれた土地だ」とか「だいたい磁場が狂ってる」とか「泥臭い街だ」「貧乏くさい街だ」「そもそも湿気が多過ぎる」「なんかやけに暑くない?」「不味い店しかない」「空気が赤い」など、散々にその土地の悪口を言いふらしていたが、お稲荷さんは、そんな私の願い事を、たくさん叶えてくれた。
勿論全部ではないけれど、きっとそれは、まだ自分には早かったり、叶わない方が良い事だったりしたのだと思う。私はあんなに悪口ばかり言っていたのに。

文句ばかり言っていた街だったけれど、引っ越してみて、思った以上に愛着を持っていた事が分かった。貧乏くさいところや、ちょっと汚いところや、不味い店が多くて笑っちゃうところや、細い道に朽ちかけた家々が並ぶ風景や、坂が多いところ、神社が多いところ、多分東京の西側だから、夕陽の色が他よりも濃くて、ちょっと感傷的な気持ちになってしまうところ。
ただ雑然としていて嫌だと思っていた景色が、雑然としていることって、本当は調和がとれていて、こんなに落ち着く美しいものなんだ、と思った。気の持ちようで、見えるものさえ変わってしまうなんて、我ながら気分屋だな、と思う。

新しい街は、まだ私に心を許してくれていない気がする。それもきっと気の持ちようだけど。早く仲良くしてもらえるようにしよう。もしかしたら、今行ったり来たりだから、まだ信用してもらえていないのかもしれない。早く絵の引っ越しも済まさなければ。

全部の引っ越しが済んだら、お稲荷さんに挨拶に行こうと思う。今までの感謝と、また遊びに来ます、ということと、最後のお願いは、一向によくならない風邪を治して下さい、にしようと思っている。

5 comments:

  1. わたくしが言った通りですね。やはりそんなしみったれた土地が似合っていたんですよ。
    ニュータウンニューライフの詳しい話を今度聞かせて下さい。

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  2. お大事にしてください。

    私も先日とんでもなく年期の入ったお稲荷さんに出会い
    からまっていたヤブカラシ抜いてきました。
    ついつい御利益を期待してしまう私。 
    宝くじ当たらないはずです。

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  3. >カルボーン境さんことムラカミさん

    愛着を感じたとはいえ、似合っていると言われると心外なのだなぁ、これが。カルボーン境って何(誰?)ですか?

    >パセ子さん

    いえいえ、きっと御利益ありますよ!
    私は件のお稲荷さんで、一度トラネコに会ったのです。お参りしていたら、ガサゴソって音がして、ビックリして目を開けたら、トラネコが足にじゃれてきました。トラは色がキツネに似ているから、あれはお稲荷さんだったと、ちょっと本気で思っています。

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  4. カルボーン境には深い意味はないです。ただ一瞬自分はカルボーン境なんだって思いこんだだけですよ。
    ところで、風邪は治りましたか?お大事に。

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  5. >ただ一瞬自分はカルボーン境なんだって思いこんだだけですよ。

    自分を見失わないで!!あなたはカルボーン境ではありません。
    風邪治らないんですよ〜。むしろ悪化してます。明日病院に行ってみようかと思っています。

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